強引上司にさらわれました
意外な弱点に飛び起きる


翌朝の月曜日。
けたたましいベルの音に私は飛び起きた。

まるで水揚げされた魚のように、ベッドの上でピンピン飛び跳ねる。
おかげで壁に頭を強打して毛布の中うずくまった。


……ここ、どこだっけ。
目を開けて、一瞬パニックになる。

――そうだ。
朝倉課長のマンションだ。


昨夜は、隣の部屋にあの朝倉課長が眠っているのかと思うだけで、違う意味でドキドキしてしまった私。
なかなか寝つけず、やっと眠れたと思ったら、この騒ぎだ。
目覚まし時計と思われる音は、隣の部屋から響いていた。

まだ朦朧とする頭をさすりながら、隣のドアをノックする。
ところが、反応はなし。


「課長、開けますよ」


一応断ってからドアを開けると、大音量の目覚まし時計が耳に突き刺さってきた。
しかも、ひとつやふたつじゃない。
ベッドの上から床や出窓に、ざっと見ただけで八個の時計がすさまじいボリュームで鳴り響いていたのだ。

この騒音の中で、課長はピクリともせず眠っている。

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