強引上司にさらわれました

それ以外に男性社員は人事課と人材開発課に二名ずつ、女子社員は人事課に二名、人材開発課には私ひとりきりだ。

一緒に出勤してきた課長をはじめ、みんなが揃ったところで、改めて頭を下げる。


「先日はせっかくご参列いただいたのに、あのような事態になってしまい申し訳ありませんでした」

「いや、大変だったね、麻宮くん」


部長が労いの言葉を掛けてくれた。
みんながそれに呼応するように、うんうんと頷く。


「休まなくて平気だったのかい?」

「はい、仕事していたほうがいいので。特別有給休暇は取り消させてください」

「それはまぁ構わないがね。とにかく人生はいろいろあるものだ。またいいことがあるから頑張ろうじゃないか」


部長から前向きな訓示をいただき、「はい」と頷く。

それにしても、いろいろありすぎだ。
住むところもなくなる人生になろうとは思いもしなかった。
課長が住まわせてくれなかったら、今朝は漫画喫茶からの出勤だっただろう。
そうなると、課長には本当に感謝の気持ちでいっぱいだ。

一応ひとりひとりにも謝罪をしてまわり、やっと自分の席へと着いた。

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