強引上司にさらわれました
人事部の向かいにあるミーティングルームには、朝倉課長、村瀬さん、野沢くん、私の四名が集結した。
ロの字に配置された長テーブルにひとりずつ座る。
「早速だが、来週の土曜日に開催する会社説明会について、みんなに考えてもらいたいことがあるんだ」
課長はテーブルの上に手を組んで、私たちにサッと視線を投げかけた。
「何年か前からトップをはじめとする上層部からあがっている意見の中に、新入社員の質の低下があげられている」
まぁ、確かにわからなくもない。
導入時研修を見ていても、ここ数年は新入社員の反応が薄い。
講師に質問することはないし、眠っている者すらいる。
肩を揺すって起こすこともしばしば。
その日ごとに書く日誌も、当たり障りのないコメントばかり。
なんのために入社したんだと、心の中でモヤモヤすることはたびたびある。
「それならば、最初から質の高い学生を集められないかと。入社してからの教育も、ある程度高い位置から始められる。つまり、即戦力につながるというわけだ」
それはわからなくもない。
はじめからレベルの高い学生を集められれば、入社してからの会社の負担は減る。