強引上司にさらわれました
ところが課長は、神妙な面持ちを一気に解いて大きくうなずいた。
その目がキラキラしているように見えるのは気のせいなのか。
「よし。それをやってみよう」
「え? 課長、本気ですか?」
村瀬さんが目を瞬かせながらメガネを持ち上げる。
この部署内ではいつもブレーキ役を担っているだけに、慎重な態度を見せた。
「現状を打破するには、突拍子のないことが必要なこともある。今までどおりでダメなら、違う角度から攻めてみるしかないだろ」
やる気満々になってしまった。
「早速、その研修内容の企画書を……麻宮、至急作ってみてくれ」
「は、はい!」
背筋をピンと伸ばして返事をした。
「それが出来次第、来週末行われる会社説明会にエントリーしている学生に、追加案内を送ること。それから、最初はもっと広く集める必要があるから、各大学にも同様の案内を出して学生を募るんだ。ホームページを見てエントリーする学生もいるから、そこにも研修を実施することを明記するように」