強引上司にさらわれました

俄然張り切りだした課長は、私たちそれぞれに仕事を分担し、「以上」と立ち上がった。
野沢くんは「マジかよー」と言いながら、村瀬さんにいたっては「大丈夫かな」と不安そうにミーティングルームから出て行った。

急いで企画書を作ろう。
ふたりに続いて私も部屋を出ようすると、課長から呼び止められた。


「今日は何時頃帰る予定だ」

「そうですね……企画書さえできれば定時の五時半には……」

「それじゃ、先に帰ってろ」


課長はポケットから取り出したキーケースを私に差し出した。


「え? あ……」


そうだった。
課長の部屋に居候しているんだっけ。
一瞬ポカンとしてしまった。


「俺は少し残業になるだろうから。ついでに合カギを作って帰ってもらえると助かる」

「はい、わかりました」


なんだか同棲中のカップルみたいな会話がむず痒い。
誰かに聞かれたりしたら変な誤解をされそうだ。

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