強引上司にさらわれました
「課長はなににするんですか?」
「朝倉ちゃんはいつものだろう?」
聞いたそばから、課長ではなく店主が答える。
「そうですね。いつものでお願いします。それからヤスさん特製の餃子も」
“いつもの”ってなんだろう。
“ヤスさん”って、この人のこと?
……まいっか。
課長の定番を頼めば失敗しないだろう。
「私もそれでお願いします」
「オッケー。メン二丁、餃子二丁!」
「メン二丁、餃子二丁!」
店主のひと声にほかのスタッフが繰り返した。
ずいぶんと威勢のいいお店だ。
「ビールでも飲むか」
「ビールですか?」
私が「はい」とうなずくより早く、課長はビールもふたつ追加した。
すぐに運ばれてきた中ジョッキで軽く乾杯する。
「お疲れ」