強引上司にさらわれました
「ほん……いもう……の?」
「……じつは……す」
「……やっぱり……だと……のよ」
課長と管理人さんがなにか言葉を交わしているのをぼんやりと聞いているうちに、今度は体がなにかに倒される感覚がした。
部屋に着いて、ソファかベッドに課長が横たえてくれたのだろう。
あまりにも重く感じる体は、そこに張り付いたように深く沈み込んだ。
不意に髪を撫でられたような気がして、落ちかけた意識が一瞬だけ戻る。
「悪かった。ごめんな……」
課長はそう言うと、もう一度髪を優しく撫でて離れたようだった。
なにが“悪かった”んだろう。
どうして謝るんだろう。
眠りに吸い込まれていく過程で考えたところで、心当たりは見つけられなかった。