強引上司にさらわれました
早々に明かされた事実


午前五時半。
スマホのアラームが私を目覚めさせた。
二日酔いの朝にしては、すっきり起きられた気がする。

そんなに早く起きる理由。
それは、朝食を準備するためだ。

昨日のようになにも食べずに出勤して、つらい思いはしたくない。
毎朝コーヒーだけという課長の分も、無理やり用意してしまおうと画策していた。

昨夜、シャワーを浴びたあとにこっそり冷蔵庫をチェックしてみたら、玉子とベーコンを発見したのだ。
六時に炊き上がるように炊飯ジャーのセットもしたし、お味噌汁と目玉焼きくらいしか作れる材料はないけれど、今日はそれを朝食としよう。

身支度を整えてから調理を済ませ、いざ六時。
課長を起こさなくてはならない。

一応ノックをしてドアを開ける。
今朝は目覚まし時計の襲撃に合わずに済んでいるけれど、当然のことながら課長はまだ爆睡中だ。
こちら側に背を向けた体制で横になっている。

カーテンを一気に開け放ち、朝日をいっぱいに取り込む。


「課長、時間ですよ」


手始めは普通のトーンの声で。
ところが当然のごとく、これで目覚めるはずもない。

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