強引上司にさらわれました
ひとりであたふたしているそのときだった。
ほんの数センチ離れたところにある課長の両目が、ぱっちりと見開かれたのだ。
この状況をどう思うか。
説明しようにも口が動かない。
課長は何度か瞬きを繰り返したあと、なぜか照れたように目を逸らした。
かといって、この腕を解いてくれるわけでもなく、私たちの距離は変わらず密着状態。
「お、おはよう……ございます」
そう言うよりほかなかった。
「何プレイだ」
……何プレイ?
そうだな……あえて名づけるならば……。
「グッドモーニング……ミッションプレイ?」
私が言った途端、課長はプッと吹き出した。
それと同時に課長の腕が私から外れる。
やっと解放された私は、飛び退くように課長から離れた。
「あまりにもくだらなすぎて、一気に目が覚めた」
“くだらなすぎ”は言い過ぎじゃないか。
こっちは起こすことに必死になっているというのに。