強引上司にさらわれました
課長はムクッと起き上がると、昨日と同じようにベッドの上で大きく伸びをした。
朝日に照らされたその体の美しいことといったら……。
つい食い入るように見つめてしまってから我に返る。
「ご飯できてますから」
「……ご飯?」
課長は伸びをしたまま首を傾げた。
「はい。冷蔵庫のものを勝手に使ってしまったんですが」
「朝はコーヒーと決めている」
「そんなのダメです。朝ごはんをきちんと食べてこそ、脳に栄養が行き渡って仕事もばっちりこなせるんです。コーヒーだけなんて絶対にダメです」
私ひとりだけでは食べづらい。
かといって、食べずに出勤だけは絶対に避けたい。
意地でも課長に食べてもらわなくては。
仕事を引き合いに出せば、きっと課長は折れるはず。
そう踏んだ私の予想は、見事に的中。
「それもそうだな」
課長は案外と素直に納得したのだった。