強引上司にさらわれました

なんのことかわからずポカンとする。


「聞いたわよ、彼女だって」

「え!?」


管理人さんの言葉に絶句する。

いったい誰からそんなことを?
しかも違うし!

申し訳ない気持ちで隣にいる課長を見上げる。
すると課長は、軽い咳払いをひとつして目配せをしてよこした。

え? もしかして、課長がそんなことを管理人さんに言ったの?


「妹なんてねぇ、どうもおかしいなと思ったのよ。似てないし、朝も夜も仲良く一緒だろう? これは絶対違うぞって思ってたの」


管理人さんは口元に手を当てて、内緒話でもしているように言った。

でも、課長はいつそんな話を管理人さんとしたんだろう。
そこでふと思ったのは、酔っぱらった私を連れて帰ってきた昨夜のことだった。
エントランスで会ったらしき管理人さんと課長との断片的な会話だ。

推測を加えて、それを頭の中で再現してみる。


『本当に妹なの?』

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