悲 恋

🔸🔸加賀美 綾

加賀見　綾（秀悟の母)

秀悟が真美ちゃんと離婚してから
私は、ショッピングモールで
あった女性の未菜さんの事が
気になっていた。

だから
今日は、思いきって島に行ってみた。

人口は、少ないが
綺麗な所だった。

私は、診療所の場所を聞いて
行ってみると
診療所の回りには沢山の人がいた。

その人達に聞いてみると
病気の人も、病気じゃない人も、
未菜先生に会いに来てる
と、言っていた。

彼女の人となりが伺える。

そこに小さな女の子とおばあさんが
来て
「きーちゃん。
ママ、まだ、おしごと？」
「そうじゃの、また、暇なやつらが
きておるじゃろ。」
と、言うと
「ママっ、たらいま！！」と。

すると
ショッピングモールで会った
女性・・・未菜さんが出てきて
「お帰り、花菜。
きえ先生の邪魔してない？」
「きーちゃん、じゃまないね。」
「おお、良い子だったぞ。」
と、言うと
女の子は、嬉しそうだった。

『じゃ、わしらも帰ろうか
また、明日な未菜先生。』
と、島の人達も
次々と帰って行った。

そんな風景をみて
私は、彼女はどなたかと
結婚して幸せに暮らして
いるんだ。
と、思っていた。

すると······

「あんた、他所からきたな？」
と、さっきのおばあさん。
「あっ、はい。」
「あんた、あの子の知り合いか？」
「はい。えっと、何て言ったら」
「いや、わしもあの子の過去に
何があったか知らないが。
あの子は、一人でこの島に来て
一人で、花菜を産んだ。
あの子は、心優しい娘だよ。」
と、言って去りながら
「今は、そっとしておきなさい。
あの子は、優秀な医者だ。
きっと、近いうちに
本土に戻るじゃろ。」
と、言った。

私は、このおばあさんに
言われた通り
未菜さんの事は内緒にした。