弱虫なボク~先生と生徒の距離~
「先生…ホントの事言うと…」



自分の口から自然と出てきた言葉が弱く、今にも消えてしまいそう。


しかし、先生は、何も言わずに、僕の背中をさすり続けてくれた。


もう、先生にバレてもいいや。


先生にはもう嘘はつけない。


「先生…僕は…先生の事が…」


顔を胸から少しあげて、先生の耳元でそう呟いていた時だった。


何人かの廊下を走る音が、こちらに向かっていて、ドンドン足音が大きくなっていく。


先生は、とっさに僕から離れて、何事かとドアの方へと歩み寄って行った。


僕の制服には、離れていった先生の甘い香りが仄かに残って


まだ、抱きしめられている、触れ合っている錯覚に陥っていた。
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