弱虫なボク~先生と生徒の距離~
何をそんなに急ぐ必要があるんだろう…


そう思っているのに、足は交互にリズム良く地面に降りていく。


通行人の間を通り抜けて走っては、風の動きを感じていた。


その風がやむ頃に、僕は、高田香奈が待つ公園に着いていて、乱れた呼吸を整え、額の汗を服の袖で拭った。


拭いながら、辺りを獲物を狙うかのように、高田香奈を探す。


「居た…。」


お目当ての人物を見つけると、なぜか「安心感」に似た感じでホッとしてしまった僕。



高田香奈は、そんな僕にまだ気づいてなくて、腐食したベンチに座り、


砂場を見つめて、何か寂しげな表情を浮かべていた。
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