弱虫なボク~先生と生徒の距離~
「井手君、先生の授業はつまらない?」


慌てて、横に首を振って答えた。


「ちゃんと授業を受けてね。」


先生は、持っていた英語の教科書で僕の頭をコツリとした後、教壇へと戻っていった。


「井手、お前、頭が良いからって、油断してたら受験失敗するぞ!」


と、野太い声が僕の右斜め前から聞こえた。


その方向を見ると、その発言者は、足立だった。


「足立、お前…傷は?」


そこに居る足立の顔には、傷が全くなく…


「はい?傷?お前頭大丈夫か?」


頭を指差して笑う足立。
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