弱虫なボク~先生と生徒の距離~
「先生の声が、スピーカーから…。」


窓から、スピーカーへと視線を動かし、僕はポツリと呟いた。


「3組の井手君って、僕!?」


優しい声で包まれている錯覚に陥っていた僕は、一気に目を覚ます。


ヤバい、ヤバい、寿美子先生が僕を呼んでいる!?


いつもなら、天井にぶつかるぐらい飛び上がって喜んでいるに違いない。


でも、今日は違う。

だって、さっき寿美子先生から逃げるように。


いや、実際は逃げ出したんだ。


弱虫な僕は、2人っきりだった教室から逃げ出したんだ。


逢い辛い気持ちが、僕の中でドンドン大きさを増していくのを感じた。
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