弱虫なボク~先生と生徒の距離~
「失礼します…」


とても、弱々しい声を出し、職員室に一歩踏み入れた。


辺りを見渡すと、ガラーンと人の気配がなく。


「誰も…居ないじゃん。」


ほんの小さな覚悟だったけど、少し肩に入っていた力が抜けた。


少し、安心したのかいつも無表情の僕の顔に、笑みがこぼれる。


しかし、


---ガチャ---

安心したのも束の間、職員室の奥にある部屋から誰かが出てきた。


「あっ、井手君。遅いよー!!」


部屋から出てきたのは、紛れもなく寿美子先生なわけで…


しかも、ドンドン僕の方に向かって歩いて来る。
< 31 / 222 >

この作品をシェア

pagetop