弱虫なボク~先生と生徒の距離~
「亮?…亮だよね?」


騒がしい雑音の中から、微かに聞こえた僕の名前を呼ぶ声。


進み出そうとした足は、ピタッと止まり、僕の目は周りをチラチラと見渡す。


急に止まったせいか、後ろから来た人とコツンと軽くぶつかり、


すみませんと小さな声で、ペコッと頭を下げて謝った。


気のせいか?


もう一度、周りをキョロキョロと見渡してみた。


僕の聞き間違い?


「亮、やっぱり亮じゃん!」


今度は、ハッキリと聞こえた。


信号待ちをしていた場所の方から、
全力で駆け出して来る女に気づいた。


そして、青になり渡ろうとしていたはずが、


点滅を始め、すぐに赤へとまた変わる。

慌てて、さっき待っていた場所へと僕は戻った。
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