弱虫なボク~先生と生徒の距離~
「まだ…根に持ってるん…だね。」


さっきまでの自慢の武器が粉々に崩れ去り、


今にも泣きそうに目を潤ます里奈


「…別に」


さっきの攻撃は、上手く交わせたのに


今度の攻撃は、上手く避けれずに僕の心を捕まえて離さない


「ごめん…」


里奈は、そう呟くと両手をめいいっぱい広げて、小さな顔を覆い隠し


突然、泣き出してしまった。


か細い声で呟いた里奈の『ごめん』の3文字は


ウルサいはずの雑音の中でも、僕の耳にしっかり届いた。


「こんな所で泣くなよ…分かった、話ぐらいならするからさ。」


通り過ぎて行く通行人のチラッと見る視線が少し気になって


つい、優しい言葉をかけてしまった。


僕にとっての…だけど。
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