弱虫なボク~先生と生徒の距離~
里奈の側まで歩いていくと、


腐食し、ボロボロな状態で設置されているベンチが目に映った。


「このベンチ…」



形や色は、あの頃とは違ってはいたが、僕の頭の中ですぐに分かった。


「ここで、このベンチで何度もキスしたよね」


照れながらなのか、ポツリと呟き僕の顔をチラッと見た時に、

若干、頬が赤く染まっていたように感じた。


連鎖反応なのか、僕もなぜか照れてしまった。


あの頃のベンチは、真っ白で真新しい感じだったのに。


1年の間で……


腐食したベンチを見ていると、なぜか今の自分を見ているような錯覚に陥る。
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