弱虫なボク~先生と生徒の距離~
里奈とまた出会ってしまうぐらいなら、教室に残っていれば良かった。


なんて思ってしまったけれど、


すぐさま、僕の頭の中で『カエレ』の言葉と冷たい視線が蘇った。



「あのさ…」


タイミングよく、里奈は僕に話しかけてきた。


「何?」


里奈の表情は、何か寂しげな顔


子供のようにはしゃぎ喜んだかと思えば、
切なく、寂しげな表情を浮かべる。


ホント、忙しい女だなと改めて思った。


「あのさ…」


何か言うのを躊躇っているのか、僕に背を向け


黒のスニーカーで小石を蹴りながら、


言い辛そうなのを誤魔化しているような感じに見えた。


ハッキリと言わない里奈に、だんだん苛立ちが込み上げて


「なんだよ?ハッキリ言えよ!」


つい言葉を荒げてしまった。
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