弱虫なボク~先生と生徒の距離~
「…1人を除いて?どういう事?高田さん」


教卓の上に、バサっと音を立てて出席名簿を置き、


一番前の窓際に座る高田香奈の方に、小さく可愛らしい顔を向けた。


「1人だけ、練習に参加しようとしない人が居るんですよ」


無愛想というか、怒っているというのか……


「誰?」


先生は、腕を組むと教室内をグルッと見渡すように視線を送る。


なぜか、誰も僕の名前を出そうとはしない。


先生の問いかけに、クラスメート達は黙ったまま


別に、給食費を盗んだ犯人探しでもなければ、


ウサギを逃がした犯人を探しているわけでもないのに、


気づけば雨が、激しく窓にぶつかる音が教室内に静かに響いていた。
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