弱虫なボク~先生と生徒の距離~
先生は、パイプイスに座ると足を組み、何やら考え込んでいるように顔を歪める。


至近距離のせいもあり、直視する事はできない僕。


だから、テーブルに視線を落とし、たまにチラッと先生の顔を見る為に顔を上げる。



座ってから何も言葉を発しない隣の高田香奈も気になるところだし


何の為に、ここに来たんだよ…。


「井手君、前から思ってたんだけど…」


心が油断している間に、先生は急に僕の名を呼び真剣な瞳で僕を……


背もたれにもたれかかっていた僕の背中は、


思わず、ピーンと伸びお手本のような座り方になった。


生唾をゴクリと静かに呑むと、先生はさらに言葉を続けた。
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