弱虫なボク~先生と生徒の距離~
チラッと、先生の顔を覗くように目だけを向けると、


先生は、なぜか悲しそうな表情を浮かべていた。


「井手君って…誰も信用しないタイプでしょ?」


隣から、いつもの元気は無く、か細い声が聴こえ、


顔を声のする方へと向けた。


そしたら、高田香奈もなぜか悲しそうな表情を……


「信用?人を信用なんてするわけないじゃん…」


僕もなぜか、ポツリ呟く程度で答えた。


信用?


里奈に裏切られてから、信用なんて言葉は、僕の頭の辞書から消えて無くなった。


信用してどうなる?

「井手君、そんなんで良いの?」


先生もポツリ呟く。


僕は、何も答えずに、ただテーブルをじっと見つめたまま


誰かの次の言葉を待った。
< 94 / 222 >

この作品をシェア

pagetop