君とあたしのわずかな距離を、秒速十メートルで駆け抜ける
あたしは、亮太を応援してる。
やっぱり一番大切な人を裏切るわけにはいかない。
だから、答えは一つしかない。
亮太の悲しい顔は見たくない。
それでも、好きなものは好きなんだ。
たけどきっと、この恋は叶わない。
だからあたしはこの想いがいつか消えるのを待つしかない。
消えるのを待つのなら、この気持ちに振り回されちゃダメだ。
唯との関係、そして亮太との関係を壊したくない。
「もちろん! あ、恋バナ意外も、なんでも。なんでも相談してね!」
顔をあげた瞬間、あたしの目に満面の笑みを浮かべた唯が映った。
どちらかといえば大人しく、あまり感情を表にださない唯だ。
そんな彼女が瞳を輝かせる様子に、胸がチクリチクリと痛む。
まるで、一本一本ゆっくりと針を刺されるように。
あたしは親友に、嘘をついた。