君とあたしのわずかな距離を、秒速十メートルで駆け抜ける
◇◇
「じゃあまたねー」
「うん、バイバーイ」
唯と手を振り合って校門前で別れる。
唯の背中が小さくなるまで見届けて、あたしは体を帰路に向けた。
「はあ……」
こんなに深いため息をついたのは初めてかもしれない。
強くならなきゃ、もっと。
自分の感情をコントロールできるくらいならないと。
好きだ。
亮太が好き。
きっとずっと、好きだった。
つうかあの仲。
以心伝心。
阿吽の呼吸。
言い合いが多いけど、あたしと亮太の関係はそんな感じ。
亮太はあたしを信頼してる。
あたしは亮太を応援してる。
なら、もう、この気持ちはなかったことにしよう。