クールな御曹司の甘いお仕置き
「……最悪」

アパートの前で大家さんに声をかけられた時、嫌な予感がしたのだ。

『結城さん、お父さんが困ってたから鍵開けてあげたわよ』

大家さんにしてみれば良かれと思ってしたことだろう。

だが、私に取ってみれば余計なことだった。

私が高校生の時に母が亡くなって以来、父は定職にも就かずフラフラしていて、お金があれば全てギャンブルに使ってしまう。

私の貯金がその犠牲になったのも今回が初めてではない。

会社の寮に住んでた時も、私が不在の時に父がやって来て私の通帳を持って行ってしまった。

前回は通帳だけだったけど、今回は電化製品まで持っていかれて……。

夏のボーナスが入ってやっと百万貯まったと思ったのに……。
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