SugaR FoX
『すいませぇん』
お店に向かう途中
女の人に声をかけられた。
自分より少し上に見える女の人は
私の身なりを確認するように
ジロジロと見た。
「忙しいんですが」
態度の悪い女の人を睨む。
『すいませぇん
ヒロくんの彼女さん?だよね?』
「それが何か」
『へぇ こんなのが彼女なんだ』
見下すように私を見た。
「さようなら」
イラッとして
その場を立ち去ろうとした時
手を掴まれた。
『私に ヒロくんをください』
ムカッとして手を振りほどいた
するとその拍子に女の人は
コケてしまった。
そして ボロボロと涙を零し始めた
「ちょ、、、」
人通りが多いから
道行く人が私達を見る。
「とりあえず話聞くから
家入って」
女の人は頷いた。
「名前は?」
『佐々木 夢です』
「ヒロとどういう関係?」
女の人は口を濁らせ始めた。
「ねえ話す気あるの?」
するとまた女の人は泣き始めた
『これ…』
携帯を取り出し
一枚の写真を見せてきた
妊娠検査薬だった。
しかも陽性。
「ヒロ…なの………?」
唖然とした
『彼女さんが
いるのは知ってました
でもどうしても
好きだったんです』
「そんなの…おかしいよ…
頭おかしいよ…
こんな事で ヒロをくれって…」
『ごめんなさい…』
嗚咽が混ざった泣き声で
ずっと彼女は泣いた。
『ただいま〜』
何時間後かにヒロが帰ってきた
「…ヒロ」
女の人
『ヒロくん…』
ヒロ
『…佐々木…さん……?』
ヒロは固まり佐々木さんに
なにしてんの
と 呟いた
女の人
『ヒロくん ごめん
でもっどうしてもっっ』
ヒロ
『お前さあの時
私に子供をください
くれればもう近づかないから
って誓ったよな?なあ』
女の人はヒロの話を
泣きながら聞いた
ヒロ
『彼女にも近づかねえって
言ったよな おい』
ヒロは見た事ない顔で怒っていた
女の人
『ごめんなさい!
子供がいればヒロくんが
こっちに来てくれると…』
ヒロ
『てめぇっ』
「やめてよ…」
ヒロ
『アメリ』
「ごめん ヒロ 佐々木さん
わたし 気分悪いから外出る」
引き止めようとする
ヒロ
その手を振り払って
私は家の外に出た