SugaR FoX
ぼんやり月を眺めながら歩いた
人はみんな私を避けて歩いた
酔っ払いのように見えたのだろう
ドンッ
「わわっ」
人にぶつかってしまった
「すいませんっ」
『大丈夫ですよ』
振り返った人は
オレンジの髪が揺を揺らし笑った
「すいません…」
頬に何かが垂れた気がした
涙だった。
『ちょっ!大丈夫です!?』
次から次に流れる涙。
『人通り多いから
ちょっとこっちに来て』
手を引っ張られ
公園にやってきた。
「すいません…」
『…何かあったん?
出会ったばっかりの僕に
言えやんやろうけど……』
オレンジの髪の男性は
悲しそうに眉毛を下げた
「彼が…
女の人を妊娠させてしまって」
『え…?』
「私 どうしたらいいか
わからなくて」
またポロッと涙が出た。
『僕 椎名 碧って言います』
「え?」
『近くのバーで
バーテンダーしながら
塾の講師してます。』
「はあ」
『今から僕の店に行きませんか』