【短ホラー】殺人チャンネル
真っ黒に塗りつぶされた画面は、すーっという空気の抜けるような音を一定に発していた。

サキの手に力が入って私の腕を下に引いた。

「アヤ、座ろう……?」

「う、うん……」

帰り道の熱のこもった声と違って、サキの声は小さく震えていた。

だけどどうしてか、私もサキも止めようとは言わなかった。

画面の闇に吸い付かれているような気がした。

「一分前、だからね」

私はサキが握るリモコンを確認しながら言った。

「……分かってる」

ぎゅうっとプラスチックが軋む音がした。


殺人チャンネルが終わるのはきっちり午前3時。
その一分前にはテレビを消す約束だ。


最後まで見た者は……


『死ぬ』


その言葉が頭にこびりついて離れなかった。

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