バカは私の取り柄ですっ!!
でもここまできたら引き下がれねぇのが俺。

少し深呼吸をして、優しく言う。


「俺をなんで避けてるんだ?」

「俺、お前になんかしたのか?」


と。

愛叶は少し驚きながら悲しそうな顔をした。

少し下を向いて、これまでにないほど小さな声で、


「そんなことないよ。」


と言った。

その声は微かで。

このうるさい空港では聞き取れないほどだった。

でも、なぜか俺には聞こえたんだ。

細く、壊れそうな愛叶の声が。
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