恋花
「ねぇねぇぇ~~。」
「なんだよぉーー。」
せみの音がかすかに響く部屋の中。
琉実と勇大の会話が始まった。
「今日はさぁ。」
「うん。」
「こんなに進んだよ??」
今日終わらせたページをピラピラと捲りながら琉実が言った。
「それがぁーー??」
勇大はチラッと琉実のほうを見ると、また自分のシャーペンの先に視線を落とす。
「もうさぁ。日も暮れてきたねぇ??」
今度は窓の外を指差しながらニコニコと言った。
「・・・。まだ4時半なんですケド。」
勇大は窓の外には見向きもせず、ため息を漏らしながら言った。
「あーー。ハイハイ。もう限界なわけね??琉実は。」
今まで、2人の会話に耳を傾けながらシャーペンをすらすらと走らせていたあたしは、琉実の気持ちを変わりに言ってあげた。
「そう!!!そうなのぉ。琉実はもう限界に達してるの!!!」
助かったと言わんばかりに琉実は嬉しそうな笑みを浮かべた。