小さな国のお姫様
1

貧困の国
いまにも崩れ落ちそうな王家
王家クリスチアーノ

第1王であるシノは妻であるアイリーンを護るようにして倒れていた。


「…………たしか、王女がいたそうだが。」


血塗られたら剣を持つ彼は攻めいった軍の最高幹部
アレスは部下であるロイに聞く

「は、今姫たちを別室にて確保しました」

「そうか」

アレスは王たちの亡骸に目もくれず立ち去る。

「アレス様、彼女たちは」

ロイは後を追う、アレスの背中には複数の切り傷があった。

「とりあえず我が国王へ出す。その後は王に任せる」

「良いのですか?」

「構わん。王の命令でもある」

「あの方は変わっておられます」

「……まぁな。」

王である彼をそんなふうに言うのも罪になるだが彼との昔からの仲であるからできる。

「そういえば、メイドが1人残り姫とともにおります」

「ほう、この状況で逃げ出さなかったのか…」

ほかの使用人たちは着の身着のまま逃げ出したというのに。と感心するアレス

「ええ、強面の鎧を付けた者たちが押し入ったときも凛としていたそうですよ」

「ほう。」

「勇敢に兵士の前に立ったとか。」

ロイはすれ違った兵士にアレスが使った剣を渡す。
その代わりにまた新たな剣を渡した

「面白い女だな」

「ええ、とりあえず引き離せば彼女が騒ぐものですからご一緒にしております。」

「その方が良い、どうせ世話役が必要だ。」

「では、引き続き一緒に。」

「そうしておけ。」

興味ないと言って執務室に入る

ここはクリスチアーノの執務室
がらんとしていて、何も無い
貧困国といってふさわしい部屋
貴重な品はなく本当に傾きそうな国だとわかる。

「うわぁ、何も無いですね」

「ふっ…………“何も無い”?
笑わせるなロイ」

本棚の右上、古びた洋書を引き抜けばガコンっと音が鳴り本棚が動く

「………」

「え、え、ええ?!」

驚いたロイはアレスの顔を見る

アレスは冷ややかな顔で開いた本棚の奥へ進む
ロイも慌てて後を追う

「この国は偽りの国だ。
民を苦しめ、税金を上げ生活を苦しめる。」

「偽り…」

コツコツと階段を下る
先には分厚い壁がありアレスはゆっくり押した

「まぁ、王家にまつわる裏通路なんてたくさ…………」

開けられた扉の向こうには眩いばかりの金の山があった。

「これは裏通路ではない。」

「これは、酷い………ですね………」

「どこが貧困国だ?」

「これは……また……」

金の山の一部がごっそり消えている、というより向こう側の扉があいてポツポツ落ちているのが見える

「この一部はどこに?」

「さぁ、その辺にいる家臣の懐探ってみろ」

「………死体のですか?」

「あぁ」

フフッと笑うアレスに、ロイは首をもげるくらい振る

「絶っっっ対嫌です!」

「まぁそうだろうな。」

カラカラと金を拾っては落していく

「民衆から……?ですよね」

「そうだな、民の稼ぎではこれの10分の1だろう。」

「え、これの10分の1?!」

ロイは驚きながらアレスを見るとアレスは金の山をかき分けた

「あ、アレス様?」

「………あったぞ」

床を見ると魔法陣が薄らと出てきた

「魔法……なんてもの、あるんですか?」

「この国の伝統というか、言い伝えというか。そんなものがある
王家に伝わる女性のみに継承されるらしい。」

「でも王家は………ここは女性に王位継承が!」


驚くべき事実にロイはなんと声にだしたら良いか迷う

女王として君臨する予定だった一人娘の彼の娘。

別室に閉じ込めた王女

「そろそろ落ち着いたころだろう。行くか」

「はい。」

数個の金を握り彼らは王女のいる部屋へと進んだ。
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