不器用な二人はあまのじゃくの関係
「ただいまー。」
「おかえり、杏奈。どうだったの?デート♪」
「はぁ!?デートじゃないから!いつものお出かけ!!!」
なにを言ってるんだお母さんったら。
「そうなの?(それをデートっていうのよ〜)」
「そう!!!…着替えてくる!」
あの後私と遥太はピンクと水色のイルカのぬいぐるみを買って水族館を出た。
その瞬間緊張がとけたのかふたりのお腹から間抜けな音が出た。
「晩飯食いにはやく帰るか!」
「うん!」
そんなかんじで帰ってきた。
帰りは手を繋がなかった。寂しかったけど緊張して話せなくなるからよかったかも。
それにしても、短かったな…
次はもう少し長い…デートじゃない!お出かけしたいな。なんて。
恥ずかしくなって顔を両手でおおう。
あ、手、遥太のにおいだ。
手だけかと思ったら服も遥太のにおいがほんのりする。
ずっと近くにいれたからかな。
勝手に口元がゆるむ。えへへ。幸せ。
「杏奈ー!」
ビクッ
「ご飯食べなさーい!」
「は、はーい!」
いきなりのお母さんの声にびっくりした私だが、ふぅーと息をゆっくりはいて落ち着いてから部屋を出た。そしてリビングへ向かう。
顔がにやけるのをおさえながら。