社長令嬢のヒミツの恋
.....どうすれば。
男の子とあまり喋ったことないし、それに...お父様にできるだけ喋るなと言われている。
ヘッドホンをつけて、目を瞑り、腕を組んで寝ているようにも見えるその江坂くん。
「あのっ....」
返事があるわけないか....「なに」
「っ!?」
聞こえてたのかな? だって私の周りにいま誰もいないし....。
「江坂、りゅうせいくんですか?」
「ちげぇし...るいだし」
「はっ、ごめんなさい!
漢字は少し変わってるけど、素敵な名前だと思います」
「.....さんきゅ」
閉じていた目をあけて、こっちを向くと綺麗な色だった。
真っ黒でも真っ茶色でもなく、透き通ったような綺麗さ。
すこし上がった彼の口角が、
私の胸をときめかせた。