社長令嬢のヒミツの恋
「江坂くん、おはよう!」
「おはよ」
少しだけ、彼は私をみて口角をあげる。
その表情をみると、身体中の、顔じゅうの熱があがった。
いつも通り、席に座る江坂くんを目で追うと、視線がゆらゆらと無意識に動いた。
「でしょ?やっぱり愛奈は江坂くっ!?」
お嬢様としてははしたないけれど、仕方ない。
麗華の口を手で必死に抑えた。
江坂くんの事、本人の前で言われたくなかった。
「ぷはっ、愛奈のバカあ」
涙目になる麗華をみると、罪悪感が生まれるけど自分でもよくわからないんだもん。
「あのっ、江坂くん、ちょっといいかなっ?」
おどおどした口調の声に視線をおくると、そこに立っていたのはすごく可愛い女の子。
あれは、確か...「富士宮 えりさ(フジミヤ エリサ) ちゃん」
そう、麗華の言う通り富士生命保険の跡取り。