社長令嬢のヒミツの恋
シンと静まり返った教室が、間をおいてガヤガヤと再びすこしうるさくなった。
「あの可愛い富士宮に、なんてことをっ!」
「江坂、調子のってるだろあれは」
「江坂くん、すこしひどいわ」
「でもかっこよくなかったことで?」
いろいろな声が聞こえる中、私の心は不安の気持ちでいっぱいだった。
「富士宮さん、すごく可愛いからきっと...」
「なに言ってるのよ、あの態度見たら一目瞭然でしょう?」
「麗華....」
「なぁに、不安なのもしかして?」
「っ!」
ほんとうに、そうだった。
「図星、か。 でもこの恋は結構一筋縄ではいかなさそうだわ...」
なにやらブツブツと言う麗華を不思議に思いながら再び教室のドアに目を向けた。