社長令嬢のヒミツの恋
"悪かった"
江坂くんが言ってた言葉。
胸にチクチクささって、抜けないトゲみたいに痛い。
「お父様...私に婚約者はいるのですか?」
「いないよ。
愛奈には好きな人と結婚してほしいんだ。だが...」
「?」
「いや、まだ早い話だ。
忘れてくれ」
そう口にするとドアをしめて出て行った。
「お父様、なにを言おうとしたのかしら?」
オルゴールの綺麗な音色を聴きながら、頭の中を巡らせた。