社長令嬢のヒミツの恋
「これも、演出ってわけじゃなさそうだし...とりあえず進んでみるか」
ゆっくりと頷いて、握っている手の力をギュッと強めた。
「怖がりだな〜意外と?」
他愛もない話をしてくれるのは、江坂くんの優しさから。
「あそこ、なんか崩れてない?」
よく見ると、確かになにか家具というかが崩れていて通行止になっていた。
「えっ、なんで!どうする江坂くん!?」
「そう慌てなくても救助してくれるだろうし」
でも....。
「江坂くん、入り口は?入り口から出れるかも」
「そうだな。片寄、ナイスアイディア」
「あっ、ありがと」
ポン、と頭に乗る大きな手のひら。
なんか犬になった気分だけど、江坂くんの犬ならいいや。