かわいい
「あんた達、しつこい。私達も暇じゃないの!」
瑞樹が眉間に皺をつくる。そんなことも御構い無しなヤンキー達はどんどんヒートアップしていた。
「瑞樹さんの怒った顔かわい〜!!」
「ねぇ!ハツカさんもなんか喋って!」
1人のヤンキーがそう言って私の腕を掴もうとした。
「やっ、やだ…!」
その瞬間、ヤンキーの手を払いのけるゴツゴツとした手が私の目の前に現れた。
「お前ら、先輩には敬語使えよ。」
そして聞こえてきたのだ。悪魔の声が。
「ヒッ…!!!!!」
ヤンキー達が顔を揃えて怪訝な表情を浮かべる。
そこに立っていたのは、我が兄、猫山猿司(えんじ)である。
「お前ら、こんなブス共相手にしてる暇あんだったら帰って糞して寝ろ!!!!!」
猿司はそう言うと、ヤンキー達に蹴り真似をして追い払った。
悲鳴を上げながら逃げたヤンキー達を満足げに見つめると、次は私達を見下ろして怒号を浴びせてきた。