かわいい
「大体、こんなちんちくりん野郎を連れ出すんじゃねぇよ!俺が恥ずかしいわ!」
そう言いながら私の髪の毛をぐしゃぐしゃにする兄。
また始まった…。
「はぁ!?全然ちんちくりんじゃないわよ!胸だって大きいし身長だって普通の女子より高いわ!」
そう言って私の胸を揉む瑞樹。
「けど顔がブスじゃ意味ねぇだろ!!」
そう言って私の顔を掴むお兄ちゃん。
「全然ブスじゃないわよ!猿司がそんなこと言うからこの子が自信無くすんじゃない!!」
「ブスのくせに自信あったら俺が嫌だわ!そんな勘違いブスにならないように、俺がブスだと言い聞かせてきたのに!!」
「勘違いでもなんでもなく可愛いの!ハツカは!!こんなんじゃいつまで経っても彼氏出来ないじゃない!!」
「作らなくていいよ!こんなブス、彼氏が可哀想だ!!!絶対作るんじゃねぇぞ!?いいな!?!?」
そう言って私の両頬を抓って伸ばすお兄ちゃん。
「うっ…う…まっ…と…ブスになっちゃ…ゆ…!」
私は屈辱で涙が溢れ出した。
「ほ、ほら!!!泣いちゃったじゃない…!!」
「わっ、な、泣くなよ!!!おい、ハツカ!!」
瑞樹とお兄ちゃんが急に焦りだした。
あぁ。また2人を困らせてしまった。
ダメな女だ。ブスと言われても仕方がない。
ブスと言われ続けて、早16年。
人生はすでに諦めている。
王子様との出会いなんて、夢のまた夢だ。