かわいい


「だって私が体育委員になったのにハツカだけ何もやらないのは嫌なんだもーん。一緒に青春しようよ!変わるチャンスだよ!!」


そう言って瑞樹は怪しい笑顔を作りながら、私の肩を叩いた。



「変わるチャンスって…。それに、本郷くんも苦手だし。」


私はアスファルトの地面に届くくらいの深い溜め息をついた。


「どうして!?本郷、チョーイケメンじゃん!」


瑞樹は驚いた様子で私の顔をまじまじと見つめる。


「そ、そういう問題じゃなくてさ…。話したこともないし…。」


「これから話せばいいじゃん。本郷いいじゃん!硬派で!狙っちゃえば?」


「な!!どうしてそうなるの!」



瑞樹のポジティブシンキングと突発的な発言にはいつも驚かされる。
私が呆れるほどだ。


「わ、私には好きな人がいるから!」


この発言に
瑞樹はニヤリと微笑み、私の頬を細い人差し指でツンツンと突いてきた。

「あっれ〜?目の保養じゃないんだ?」


「!!!!」


「ほんっと、かわいいね。ハツカは。私と付き合いなよ!」


「バ、バカなこと言わないでよね…!そうやって私をからかって…。
あ、あと!かわいいとか言わないで!」


そう言うと、瑞樹は顔を真っ赤にする私を弄るかのように寄りかかってきた。なので、ひたすら無視をしながら歩き続けた。

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