真愛
「……ふ、ふふふ…あははははっ!!いらない、かぁ……?」
あんなに信用していたのにね?
たくさんバカして笑ってたのにね?
私を信じてくれないのね。
「もう、いいや」
私は出口へと向かって歩いた。
「もう2度と俺の前に姿を現すな」
冷たい言葉を浴びせる瀧。
ほんとに人が変わってしまったね。
震える体をおさえながら振り返り一言。
「こっちから願い下げだから」
そして綺麗に笑った。
これはせめてもの強がり。
私の弱さを隠すため。
倉庫を出る直前、瑠依が苦しげな顔をしてた。
……もう、関係ないけれど。
私は走って走って繁華街のあのお店へ駆け込んだ。
すぐに空いてる部屋に入り、鍵をかける。
「ふっ……うっ…あぁぁぁあっ……!!!」
いらない、なんて言葉聞きたくなかった。
私のトラウマを思い出すから。
やっと出来た“居場所”
こんなにも脆く儚い。
左肩の痛みなんかよりも、心の痛みの方がよっぽど堪えた。
kudanに言われた言葉がまた頭に流れる。
それが狙い、だったんだね。
でも、そんなことさせないよ。
大丈夫、聖藍は。
そのために、私は悪者になったんだ。
最後の最後で突き放したんだ。
大丈夫。
そう言い聞かせて眠りについた。