真愛



「今こう思った?組長との間の子なら、なぜ紅瀬組に自分と母親がいないのか?って」

私は答えずにただ押し黙る。

信じれるわけ、ない。

「あの頃はねぇ、親父にはちゃんとした妻がいた。ちなみに俺はその母親から生まれたんだけどね。その頃は親父には複数の女がいてね。その中の1人が君の母親。たまたま君の母親が妊娠して、1度は親父たちは縁を切ったものの産まれたのが女の子だと知るや否や契約を結んだのさ」

「けい、や、く…?」

「そう、契約。君が18歳になったら君を紅瀬組に引き渡す、ってね。キミの母親はそれだけじゃ済まず、金まで要求してきた。まぁ、君は金で買われたってこと」

またお金。

母はいつもお金ばかりで私を見てくれなくて。

それで私はいつもあの公園で…え、もしかして…。

「もしかして…小さい頃によく公園にいた男の子って……」

「うん、そう俺♪未来の嫁を見に行こうと思ってね?まぁ、君が18になるまで結婚はしないって決めてたんだけど、内縁でも結婚しなきゃ若頭に上がれねぇしきたりだし?仕方なく今の嫁と結婚したってわけだ」

つまりは若頭になるべくこの人は好きでもない相手と結婚したってこと?

………最っ低!

人の心を何だと思ってるの?

さっきまで尊の友人だからっていいように振舞ってたけど我慢出来ない。




< 121 / 174 >

この作品をシェア

pagetop