真愛
「司さん、お久し振りです。っていっても本家で会った以来ですけど…」
「…ほんとに奈々か?」
目を見開いて司さんがいう。
え、私じゃなかったら誰なんだろう。
「正真正銘、本物の奈々だ。俺の横にいる時点でコイツしか有り得ないだろ」
「いや、それはそうなんだがな。あまりにも綺麗になり過ぎててだな」
そういわれ、私の顔は真っ赤に染まる。
普段そんなことをいわない司さんにいわれると、ついつい照れてしまう。
司さんが椿さん以外を褒めるのは見たことなかったし。
「あんまりジロジロ見んな。穴があいたらどうする」
「あかないわよ!!」
尊の言葉に鋭いツッコミを入れる。
穴があいたら怖いわ。
「まぁ、準備は整ってる事だしそろそろお披露目だからな。俺が呼んだら壇上に上がってこい」
そういって颯爽と壇上に上がり、軽く喋る司さん。
あー、緊張してきた…。
みんなの前に出て紹介されるわけでしょ?
髪型おかしくないかな?
メイク崩れてないかな?
他の組の方々に認められなかったらどうしよう。
そしたら反乱分子とか増えちゃうんじゃ?
うだうだと考えていると、とうとう司さんに呼ばれてしまった。
緊張で足が動かない…。
なんとか緊張を解そうとしていると、尊が頭を撫でてきた。
「みこ、と…」
「緊張すんな、お前は堂々としてればいい。この俺の女なんだ。認めねぇ奴なんか蹴散らす」
そういって艶やかに笑った。
すると、不思議と緊張が解れて自然に笑顔になった。
「うん、堂々としてる。ありがとう、尊」
私、何回尊に恋をしたら気が済むんだろう?
毎日恋してる気がする。
尊の手を取り、1段1段階段を上る。
そしてゆっくりと壇上の中心へ進む。
尊が司さんからマイクを受け取り、凛と前を向いて口を開いた。