真愛
「これからは堂々と胸張って尊の隣にいれる」
「ふふ、奈々ってば今すごくいい顔してるよ?」
雪乃がニヤつきながら肘でつついてくる。
自分でもそれは自覚してる。
尊と会う前と今じゃ考え方も顔つきも変わった気がする。
尊といることで、考えが大人になったとも思うし、人を信じることに恐怖を感じなくなった。
これもきっと尊の影響なんだろうな、と考えていると感謝の気持ちが溢れてくる。
本当に、出会えて良かったと心から思う。
尊との出会いはいいことずくし。
「尊、これからも私を離さないでね?」
尊に微笑みかけると、それに応えるかのように妖艶に笑う。
「逃げたって離してやらねぇ」
そういって私の頭を撫でた。
ふと、思い出してあ!と声を発する私。
そんな私を不思議そうに見る尊はそっちのけで、雪乃にアレを持ってきてもらうように頼んだ。
雪乃も予想はしてたみたいで背中に隠してた小さな小包を差し出す。
「ふふふ〜♪準備いいでしょ?」
悪戯げに笑って鼻を高くしてドヤる。
ふ、と吹き出しながら小包を受け取り、尊に差し出す。
「何だ?」
「誕生日おめでとう。生まれてきてくれて、ありがとう」
少し驚いたような表情をしたかと思うと、突然私を抱き締めた。
その行動に私は驚きつつ、背中に手を回し強く抱き締め返す。
開けてもいいか?と聞かれ、私は大きく首を縦に振る。
中に入ってた時計を見てはニヤつく尊。
裏に彫られてる文字を見て、更にニヤけた。
左手につけて、また私を抱き締めた。
「肌身離さず大切にする」
「うん、気に入ってくれたなら嬉しい」
ふふ、と笑って尊の胸に顔を埋める。
周りにからかわれながら、照れ笑いする私と舌打ちをする尊。
幸せだ、心底感じた。