真愛
でも、もし同じような目を向けられたら?
きっと私は、もたない。
どうにかなってしまう。
だからまだ…話せない。
話せるのはきっと、私が過去の呪縛から解かれた時。
臆病な私を許して。
まだ、このままでいたいの。
少しの間の幻だっていい。
どうか今だけは。
「って、なーつん聞いてる?」
「あぁ、ごめん。何の話だっけ」
「もうっ!だからね、駅前に新しいお店ができててね?」
「うんうん」
どうかもう少しだけ、この笑顔を私に向けてて。
しばらく話した後、明日のために眠ると雪乃は部屋を出ていった。
なかなか寝付けなくて、私は明日のことを考えていた。
もし、聖藍と出くわしたら……。
ううん、そんなことは考えないでいよう。
せっかく雪乃が楽しみにしてくれてるの。
こんな事考えて気分が落ちたら雪乃が可哀想。
何も考えないように、イヤホンをつけて音量を最大にして目を閉じた。
何も起こりませんように、と。
でも、願えば願うほど、私は悪い運を引き寄せてしまう。
明日起こることを何も知らずに眠りについた。