真愛



すると私の唇に暖かな温もりが。

愛おしそうに何回も口付けた後、目を細めて優しく笑った。

その笑顔に魅入ってしまう尊の魅力。

「嬉しい。産んでくれ」

簡潔にそういった。

反対されると思ってた私は拍子抜けしてしまって。

口を開けたまま目を見開いて、きっと変な顔してるんじゃないかな。

ふっ、と尊が笑い私の頭を撫でる。

「まさか、俺が堕ろせとでも言うと思ったか?」

痛いところを突かれ、ギクリと体を揺らす。

少なからず…と小さく言うと、オデコにデコピンを食らった。

「アホか。例え他人の子であろうと俺は産めっていうな。お前の子は俺が一生をかけて愛してやる。だから、一緒に育てていこう」

そういって優しく笑った。

目を見てハッキリ言ってくれた尊につい涙がこぼれる。

産んで、いいんだ。

私もこのお腹の子も尊と離れないで済むんだ。

その安堵感からか、私の涙は数時間止まることは無かった。

「よし、明日は病院行くぞ。そんでその後本家に行って報告」

「え、仕事は…?」

「そんなの無視。休む。仕事よりもお前の体が大事だろ」

いやいや、仕事も大事なんだからね?

ため息を吐く私を見て尊は首を傾げた。

こんなパパもって、貴方も苦労するわねBabyちゃん…。





< 136 / 174 >

この作品をシェア

pagetop