真愛
綾牙side
「あれからどれくらい経った?」
俺のすぐ後ろにいる朱雀に顔を向けずに聞く。
相棒のタッチパネルを操作し、あれからどれだけ経過したかを調べている。
「今日で丁度1週間です」
「そうか。俺ぁ、結構時間与えた方だよな?」
「…えぇ、貴方にしては待ったほうかと」
「今日の夜、迎えに行くぞ。準備を整えとけ」
「は」
すまねぇな尊、奈々ちゃん。
こうでもしねぇと俺は組長の座にはつけんのだわ。
俺にはやらなきゃならねぇことがある。
ここで立ち止まってる時間はねぇんだ。
2人には悪ぃけど、引き離してもらう。
「自分の私利私欲のため、人の人生を壊す、か…。ふっ、紅瀬組らしいじゃねぇか」
待ってろよ、奈々ちゃん。
あの子が素直についてくるとは到底思えない。
そうなれば、やむを得ないな。
傷つける形になるが、仕方ない。
「事がうまく運べばいいけどな」
鋭く光る西の獣の双眼が東を見つめる。
妖しく、そして艶やかに。
西がーーーーー動き出す。