真愛



「…まずい」

何とか出来たはいいが味見してみると最悪だった。

焦げの味はするしただ酸っぱいだけ。

失敗作にも程がある。

奈々はどうやって料理が上手くなったんだ?

…天性の才能ってやつなのか?

こんな不味いもん奈々に食わせるわけにはいかねぇな。

腹のガキが大きく育たねぇ。

「ネットなんかあてにするもんじゃねぇな」

捨てようとしている時、後ろから声が聞こえた。

「尊〜…?何してるの〜…」

寝ぼけ眼を擦りながらおぼつかない足取りで近づいてくる奈々。

おい、転ぶぞお前。

そういおうとした瞬間、パジャマの裾を踏み転びかけた。

すかさず駆け寄り何とか支える。

「…あ、ぶねぇ」

「あは、ないす〜…みこと〜…」

ふにゃり、と笑って俺の服を掴む奈々。

禁欲生活中にこれはねぇんじゃねぇか?

今すぐ押し倒したい…。

そんな自分に喝をいれ、なんとか理性を保つ。

「なんかいい匂いする〜…ご飯作ってたの〜…?」

「あぁ、失敗したがな」

フライパンに残る飯モドキを指差しでいう。

するとスタスタとキッチンへ行きパクリとその飯モドキを食う奈々。

「おい、腹壊すぞ」

「でも美味しいよ?せっかく尊が作ってくれたし、食べる」

パパのご飯食べたいよね〜?とお腹を撫でながらいわれると、もうどうしようもない。

可愛すぎるだろ、おい。

こんなんでこの先の禁欲生活やってけるのか。

はぁ、とため息をひとつついて、自分の分と奈々の分の飯をよそい、テーブルへと運んだ。





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